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信濃の疏水

長野地域

星と緑のロマンを共に奏でる 大洞大池(おおどうおおいけ)

小川村の標高1000m付近、大洞高原にある大洞大池は、小川村飯縄山の山頂付近の僅かな区域に降った雨をため、18haの水田を潤しているため池です。
明治33年に地域の人々が自ら開田計画を立て、そのために必要な水源として、3年の歳月をかけて人力でこの池を築造しました。ため池の完成により、多くの農家が稲作を営むことができるようになりました。
それ以来、明治庚子溜池組合により、草刈りや配水の管理が行われ、各種文献資料や総会記録等も丁寧に保存されています。また、池の水は防火用水としても活用され、地域の重要な水源として大切に守られてきました。
しかし、平成26年11月22日に発生した長野県神城断層地震によって被災し、取水施設の破損や堤体への亀裂が発生しました。決壊の危険があったため、直ちに池の水を抜き復旧工事に着手しましたが、工事実施中は池の水が使えないため、水稲の作付面積を大幅に減らさざるを得ませんでした。そのため、この地域で古くから作られてきた西山大豆の作付けを増やすことでなんとか営農を継続しました。関係者の努力により復旧工事は1年で完了し、平成28年からは水をため、水稲の作付けを再開することができました。
大洞大池から望む北アルプス連峰の景色は素晴らしく、また、澄みわたる空気は天体観測にも適しており、付近には「星と緑のロマントピア」として天文台やプラネタリウム、宿泊施設や農業体験施設、児童遊園地なども整備され、多くの人々が訪れています。
震災を乗り越えたこのため池は、今後も地域で一層大切に管理され、多くの人々に愛され続けるでしょう。
2017年6月掲載

•施設の管理者 明治庚子溜池組合