信濃の疏水
北信地域
豊かな自然と歴史につつまれた 北竜湖(ほくりゅうこ)
北竜湖は、飯山市北東部に位置し、戸隠や飯綱とともに信州三大修験霊場と称される小菅山を背後に、神秘的な湖面を湛えています。
この湖は、火山の爆発でできたくぼみに水がたまった「早乙女の池」という小さな池を、江戸時代に飯山藩の新田開発の水源として堤を築き拡張した農業用ため池です。現在に至るまで小菅地区の重要な水源として、約24haの農地を潤し続けています。
その昔、小菅地区には南竜池という池があり、竜が住んでいたという伝説があります。その竜は南竜池の水が浅くなったため近くの蓮池に移り、さらにその池も浅くなり、早乙女の池(現在の北竜湖)に移り住んだそうです。その際に、竜が体を引きずった跡が早乙女の池と小菅集落をつなぐ用水路になったと言われています。
このような言い伝えが残っていることからも、小菅地区の水不足に対する苦悩と、水源確保への並々ならぬ思いがうかがえます。
現在の北竜湖は、春には豪雪地帯の雪融けの清らかな水を満々と湛え、三方を囲む山々とともに美しい景観を作り出しています。4月下旬、湖畔に菜の花が咲き誇り、その鮮やかな黄色と周囲の新緑を映す湖面とのコントラストが、多くの写真愛好家をとりこにしています。
また、北竜湖から小菅神社奥社へ周遊するトレッキングコースが整備され、地域観光の拠点として大勢の人が訪れています。そのうえ、池に棲む鯉が早乙女に恋をしたという物語や、池の形がハート型であることから「恋愛成就の湖」として密かなブームになっています。
平成21年には、県営中山間総合整備事業により湖畔が整備され、より親しみやすくなりました。
2011年4月掲載
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