信濃の疏水
木曽地域
石積みのアーチが美しい 久保洞水路橋(くぼほらすいろきょう)
南木曽町の国道19号神戸の信号を妻籠方面に数百m進み、左に入るとすぐに「久保洞水路橋」があります。JR中央西線の切り通しに降り立って振り返ると、建設から百年余(明治42年築造)の歳月を経た威風堂々としたその姿を見ることができます。この久保洞水路橋は、国内に唯一現存するとされる石造(地元産花崗岩使用)の多連の跨線水路アーチ橋(線路を跨ぐ水路橋)で、長さ約20m、幅2m、高さは10m弱に及びます。
「信濃の橋百選」に選ばれているこの橋は、土木遺産としての価値も充分です。
建設当時は飲料用と農業用に併用されていましたが、現在は農業用水として南木曽町渡島地区の水田を潤しています。また、隣接する町道が出来るまでは、幅2mの水路の上に、コンクリートのふたが置かれ、住民の生活道路としても利用されていました。
眼鏡橋のようなその造りは、昭和48年までアーチの下を中央西線の列車が通っていたという証であり、南木曽町では、全国に先駆けて古い町並みを保存した妻籠宿のように、この水路橋を再評価して文化財登録する計画があります。近くには、同じく「信濃の橋百選」に選ばれた桃介橋や柿其水路橋(この二つは国の重要文化財)もありますが、この「久保洞水路橋」を知っている人は意外と少なく、「眠れる観光資源」として脚光を浴びる日も近い
と期待されています。
2014年4月掲載
◦施設の管理者 渡島水利組合
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