信濃の疏水
木曽地域
湿原の細島ため池(農業用ため池細島)
木祖村小木曽地籍には、温かな農業用水の確保を目的として昭和26年に築造された細島ため池があります。このため池は、木曽川支流笹川の小屋沢から取水し、一旦水を溜めて温めた後、水田へ用水を供給しています。
標高1200mに位置し、ため池の敷地がかつてミズゴケ湿原であった名残として、池の北側には湿地帯が広がっており、そこには日本一小さいトンボとして知られるハッチョウトンボ(木祖村指定天然記念物)が生息するなど、豊かな自然環境に恵まれています。
築造後50年以上が経過し、ため池の老朽化が著しくなったため、平成18 年には県営ため池等整備事業による全面改修工事が行われました。この事業では豊かな自然環境を保全するため湿地帯はそのまま保全し、流入する水路には自然石を利用し、堤体には木製の転落防止柵を設置するなど、景観や動植物への配慮を取り入れた工事が実施されました。
細島ため池は、春から夏にかけては豊かな緑、秋には紅葉、冬は雪景色と四季折々の姿が見られます。周辺には木曽ヒノキ、サワラ、ブナなどが広がる水木沢天然林もあり湿原を眺めに観光客が訪れます。
豊かな自然に囲まれた美しい細島ため池は多くの人々に親しまれ、後世に亘っていつまでも保全されながら水田を潤し続けることでしょう。
2016年9月掲載
◦施設の管理者 細島水利組合
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