信濃の疏水
上小地域
塩田平の農業を支える 沢山池(さやまいけ)
年間降水量が約900㎜と全国的に見ても雨が少ない上田市の塩田平には、多くのため池があります。沢山池は、これら点在するため池に農業用水を供給するために造られた農業用ため池です。塩田平を南北に流れる産川上流に昭和9年から11年にかけて、延べ2万9300人余りを動員して建設され、その後の食糧増産時代に塩田平の水田農業を支えました。平成に入り県営防災ダム事業による改修で洪水調整機能を追加し、現在は総貯水量108万tの治水・利水を目的とする多目的ため池として利用されています。
塩田平は、江戸時代にたくさんのため池が築造されたことにより、塩田三万石と呼ばれる穀倉地帯となりました。今でもその姿は当時と変わることなく受け継がれています。
また、沢山池と多くのため池が一体となり地域農業を支えていることや、ため池や川にまつわる民話が数多く残っていることなど、その歴史や文化が評価され、平成22年3月に『塩田平のため池群』として農林水産省の「ため池百選」に選定されました。
塩田平に伝わる民話の中に、沢山池に関わる次のような話があります。
沢山池から流れ出る産川に、大きな岩がゴロゴロしている「鞍が淵」と呼ばれる淵があり、その昔、この淵で大蛇が赤子を産んだということです。この話は、松谷みよ子さんの児童文学「竜の子太郎」の題材にもなっています。
2011年3月掲載
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