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信濃の疏水

大北地域

新田開発のために開鑿された用水路 大町新堰(おおまちしんせぎ)

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大町新堰は、北アルプスの豊富な雪解け水が流れる籠川(高瀬川の支流)から取水し、大町市西部に広がる高瀬川と鹿島川の扇状地約276haの農地を潤しています。

寛保3年(1743)、江戸幕府による新田開発の奨励を受け、当時の大町村、借馬村、森村、木崎村、野口村の間に広がる「五ヶ村原」と呼ばれた、広大な原野や山林において新田開発が計画されました。しかし、新田に導水する水問題が起こりました。

鹿島川から取水すると下流の受益水田で用水が不足することが懸念されたのです。これが深刻化し計画が中止となりました。

寛政4年(1792)、松本藩の命により再度、新田開発が計画されました。用水確保の方法は、隣の籠川からの取水とし、導水のために山の鞍部を50m掘割るなどの大工事が行われました。大町新堰が順調に導水し始めると、多数の農民が入って新田開発が始まり、今ではこの地域の重要な米どころとなっています。

また、大町新堰の水は、潅漑用水として使われるだけでなく、下流の市街地では防火用水や流雪用水など地域用水として利用され、市民の生活に欠くことのできない水です。さらには、この堰の水を利用し100m余りの落差で最大出力1000kW、年間約610万kW時(一般家庭約1800世帯分の年間電力需要に相当)を発電する小水力発電の計画が、東京電力により進められています。
2011年6月掲載

◦ 小水力発電とは、水の落差を利用した1000から1万kWの発電に区分されるが、一般的にはミニ水力、マイクロ水力も含めた総称。

大町新堰
大町新堰
大町新堰
大町新堰