全国水土里ネット
公式サイトへ移動します

信濃の疏水

諏訪地域

知恵を集めた地域の用水 烏帽子ため池(えぼしためいけ)

烏帽子ため池

八ヶ岳連峰の最南端に位置する編笠山。その西南麓に広がる高原地帯に位置する富士見町は、その名のとおり富士山が望めるビュースポットとしても有名で、豊かな観光資源に恵まれています。

役場から中央本線沿いに南へ車を走らせ新緑の木立を抜け八ヶ岳が正面に見えたところに、そのため池はあります。

標高1,000メートル近い高原で水稲を栽培するために、それまでの水不足の解消に併せ、冷水を緩和する温水ため池として昭和26年に築造された「烏帽子ため池」です。烏帽子区、平岡区の農業用水としてはもちろんのこと、生活用水や防火用水としても利用され、地域の重要な水源として大切に管理されてきました。

しかし、半世紀が経過し、堆砂による用水不足や老朽化による堤体からの漏水が目立ちはじめ、万が一、ため池が決壊した際には直下を走る中央本線への影響が心配されました。こうした不安を解消するため、平成8~12年にかけて、ため池本体の改修と周辺一帯の整備が行われました。

維持管理や、将来の利用を考える両区の大人たちに加え、子供たちも意見を出し合い、農業用水の安定供給はもとより、憩いの場としての水辺利用にも着目し、水辺デッキ等の親水や景観にも配慮した整備が行われました。

人々の知恵を集めて甦ったため池の恩恵を、次の世代に引き継いでいくため、地域用水対策協議会が設立され、今も大切に利用されています。
2013年8月掲載

◦施設の管理者 富士見町