信濃の疏水
北信地域
古から雪を生かし おいしい米を育む 茶屋池と平八箇郷堰(ちゃやいけとたいらはっかごうせぎ)
日本海から約30㎞、長野県と新潟県の県境に位置する関田山脈は、信州と越後の人々の生活や文化を結ぶ交通の要所として16もの峠道を有していました。この峠の一つ関田峠のほど近く、冬の積雪が8mを超え、原生に近い状態のブナ林など豊かな自然に囲まれた中に、総貯水量19万5千トンを誇る「茶屋池」があります。
「茶屋池」は、河川に水源をもたず、山の頂で融雪と降雨の水を貯える、豪雪地帯特有のため池で、飯山市の岡山地域、太田地域の300haを超える水田を潤しています。現在では千曲川からの揚水を主水源としている常盤地域も、かつてはこの水の恵みを受けており、県内有数の良食味米として評価の高い地域の米づくりを支えてきました。
また、豊かな自然に恵まれた美しい池であることから、近年、周辺にトレッキングコースや休憩所等も整備され、多くの人々に親しまれています。
この「茶屋池」の水を古くから水田に運んでいたのは、江戸時代の中頃、30年間に12条の堰を手がけ、「用水の神様」といわれた野田喜左衛門正満の指揮により開削した「平八箇郷堰」(平用水、茶屋池用水)です。「平八箇郷堰」は「茶屋池」から常盤地域まで続く全長26㎞。喜左衛門の手がけた12条の堰の中で最も長く、険しい山道を切り開き、川を樋で渡すなど幾多の困難を乗り越えた末、寛文6年(1666年)に完成しました。この功績は、毎年、野田喜左衛門翁碑の前で行われる「野田祭」などで現在も称えられています。
2014年10月掲載
◦施設の管理者 長野県下水内中部土地改良区
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