信濃の疏水
佐久地域
浅間山麓の新田を潤す 御影用水(みかげようすい)
北佐久郡軽井沢町より御代田町、佐久市、小諸市の2市2町を流れ、486haの農地を潤す御影用水、その歴史は今から350年以上前の江戸時代まで遡ります。
当時、小諸藩領地内の、廃村となり芦や木々が鬱蒼と茂るだけの原野を農地にしようと、かつて武田家臣団の一員であった地方郷士柏木小右衛門が、軽井沢町の山奥にある千ヶ滝と白糸の滝より水を引き、二つの堰を開削し、およそ500haを超える新田を開発しました。
二つの堰は上堰・下堰と呼ばれ、それぞれ28㎞、36㎞にも及ぶ距離を等高線沿いに蛇行しながら進めていくため、開削に非常に苦労しました。
特に浅間山麓沿いの地盤は火山灰堆積土のため、水が染み込んでしまい流れません。しかし、小右衛門の妻の提案により、土手に真綿と粘土を重ねて埋め込むことで水を流すことに成功し、今でもその場所は綿埋(わとうずみ)と呼ばれています。
様々な苦労と3年の歳月をかけて用水は完成し、開田されたのが御影新田です。優良な農地であったため、後に幕府の天領となりました。
昭和30年から45年にかけて県営農業水利改良事業により大改修が行われ、その中で「温水路」と呼ばれる幅20m、水深20㎝の広く浅い水路が934mに渡り造られました。これは浅間山の伏流水が冷たく、良質な米作りに苦慮していたため、水温上昇を目的に考えられたもので、この間を通過するだけで水温が1.5度上昇します。
また、景観的にも優れており、軽井沢の四季折々の姿を写しつつ穏やかに流れる姿は散策ルートとして多くの人々に親しまれています。
2010年8月掲載
◦施設管理者千ヶ滝湯川土地改良区
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