信濃の疏水
佐久地域
レタスを育てる千曲川源流の水 梓山畑地灌漑用水(あずさやまはたちかんがいようすい)
梓山地区は、川上村の中で最も東に位置しており、すぐ東は埼玉県境となっています。
川上村は、今でこそレタスをはじめとする高原野菜の一大産地として全国的にも有名ですが、かつては、カラマツ苗の産地として、全国に苗木を出荷していました。
造林の衰退とともに苗木の生産も減少し、これに替わって栽培され始めたのがハクサイなどの高原野菜です。鉄道(小海線)開通などの要因もあり生産は次第に拡大していき、戦後には本格的にレタスの栽培も始まりました。そして村をあげて高原野菜産地への転換を図り、今のような一大産地となりました。
梓山地区では、昭和40年代に行われた農地開発事業や畑地帯総合土地改良事業によって生産基盤が整備され、現在では標高1200mから1500mにかけて約150haが作付けされています。
畑地潅漑の用水は、千曲川上流の標高1540m付近で取水されています。この取水施設は千曲川本流上に設置されており、源流への登山途中で見ることができます。
近年、施設の老朽化が進み、取水施設の操作が困難になったり、パイプラインからの漏水事故が多発するなど、維持管理に多大な費用と労力が必要となっていました。
このため、平成13年度から23年度にかけて県営畑地帯総合土地改良事業を実施し、取水工、パイプライン、農道などの整備を行いました。これにより維持管理が大幅に軽減されるとともに、安定した潅水が可能となりました。
新鮮で美味しそうなレタスが並ぶ畑の横で、勢い良く回るスプリンクラーを見るにつけ、水の大切さを考えさせられます。
2012年8月掲載
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