信濃の疏水
佐久地域
太陽の温もり 千ヶ滝湯川用水温水路(せんがたきゆかわようすいおんすいろ)
浅間山麓の南側に広がる軽井沢町、御代田町、小諸市及び佐久市の約500haの農地を潤す千ヶ滝湯川用水は、軽井沢町の標高1200m程にある千ヶ滝と湯川を水源とし、幹線用水路から御影用水路と岩村田用水路に分かれ、それぞれ小諸市御影地区、佐久市岩村田地区まで約21㎞の用水路により導水しています。
千ヶ滝及び湯川は浅間山より源を発していますが、融雪水と湧水を集めているため、水温が低く稲の生育には不向きな水でした。
この冷水を温めるための施設が軽井沢町追分にある「千ヶ滝湯川用水温水路」で、延長934m、幅20m、水深20㎝、勾配2000分の1の水路です。この水路は、日当たりの良い場所に傾斜が小さく、できるだけ水路幅を広くするとともに水深を浅くした構造により、太陽光によって水温を上げようというものです。
この温水路により水源で13.2度だった水が、1.5度上昇し、その他の水路での上昇も含め、水田の水温は18.2度となり、冷害を受けない水稲栽培が可能となりました。
「千ヶ滝湯川用水温水路」は、緑に囲まれた美しい水辺の景観をつくり、近隣の住民に憩いと安らぎを提供していますが、完成から46年が経過し、老朽化が進んだため、現在、県営事業により水路の補修工事を行っています。
この春、草木が芽吹くころには、補修工事も終わり、浅間山を背景に緩やかな美しい流れが見られることでしょう。
2014年3月掲載
◦ 施設管理者 千ヶ滝湯川用水土地改良区
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