信濃の疏水
佐久地域
蓼科湧水の旅の終着点 みまき大池(みまきおおいけ)
浅間山を湖面に映す、この美しい池が御牧原の台地に姿を現したのは、平成22年のことだった。
このような台地に、どうやってこれだけの水が蓄えられたのだろう。周辺を見渡せば、北東に聳える浅間山、その反対側には緩やかな稜線を持つ蓼科山。そして眼下には、整備されたほ場が見えるばかり。
周辺を見渡しても、川などは見当たらない。この水の源は、遥か蓼科山の麓から湧き出る湧水群である。その湧水を御牧原の台地まで導いたのは、昭和46年に完了した県営御牧ヶ原農業水利改良事業。女神湖を始め様々な河川、管水路を経て、56㎞もの長い道のりを旅してこの地に辿り着いた。
平成10年からは、県営畑地帯総合土地改良事業小諸御牧原地区が着工し、台地に点在する36もの小さなため池を統合するとともに、毎秒0.006㎥という僅かな用水により、浅間山を湖面に映すほどの大きく、美しい池へと生まれ変わった。貯えられた水は、これまで以上に有効利用され、農地43haを潤し水稲や馬鈴薯などの安定生産に寄与している。
本年4月30日に無事竣工式を迎えたが、この池は幾多の曲折を経て、多くの関係者のご尽力により完成している。池を中心とした地域の絆は深まっており、今後大きく、躍進することだろう。
その時が訪れることを確信し、「みまき大池」は静かに水を湛えている。
2015年1月掲載
◦ 施設の管理者 小諸市
佐久地域の他の疏水を見る
- 先人の偉業を称える 五郎兵衛用水(ごろべえようすい)
- 蓼科の清らかな伏流水を美田へ 塩沢堰(しおざわせぎ)
- 浅間山麓の新田を潤す 御影用水(みかげようすい)
- 地域に恵みを与える 女神湖(めがみこ)
- レタスを育てる千曲川源流の水 梓山畑地灌漑用水(あずさやまはたちかんがいようすい)
- 堰開削の思いを受け継ぐ 八丁地堰(はっちょうじせぎ)
- 白樺に囲まれた高原のため池 八千穂レイク(やちほれいく)
- 太陽の温もり 千ヶ滝湯川用水温水路(せんがたきゆかわようすいおんすいろ)
- 蓼科湧水の旅の終着点 みまき大池(みまきおおいけ)
- いにしえの慣わしを今に伝える 鷽ノ口円形分水(うそのくちえんけいぶんすい)
- 400 年の時を越えて 地域農業発展の恵み 四ケ用水(しかようすい)
- 日本一のレタスの生産地を支える 居倉大深山二次構幹線(いぐらおおみやまにじこうかんせん)
- ブランド米を育む 五郎兵衛用水(ごろべえようすい)
- 佐久平の農地を潤す 常木用水(つねぎようすい)
- 地域の発展を支える生命線 佐久平用水(さくだいらようすい)
- 妙なる流れで地域を支える 女堰(おんなせぎ)
- 日本一の高原野菜を潤す 海ノ口用水・広瀬用水(うみのくちようすい・ひろせようすい)
- ありがたきかな此の水 蓼科の水(たてしなのみず)